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2021/09/13 14:31


宇野です。今日は「都市」特集内の記事「虫の眼、鳥の眼、猫の目ーー人間「外」から都市を読む」について、書きたいと思います。これはタイトルだけ見たらよく分からないかもしれません。

実はこの記事については7月16日の進捗報告で一度紹介しています。そう、僕が都内某所に「猫」を探しに行ったあの記事です。あのとき書いたように、この記事では人間「外」の生物の眼を借りることで、普段は気づかない都市(東京)の側面を浮かび上がらせるのがねらいです。いまSNSの浸透によって人間がどんどん「他の人間からの目」しか気にしなくなって、東千茅的に述べれば「同種間に閉じた」コミュニケーションしか取れなくなってしまっている。そして僕はそれをひどく窮屈だと感じている、という問題意識から出発した企画です。

そして、この夏は都市の中に暮らす生き物たちをいくつかピックアップして、それらを探し出して、それぞれの生き物の目で都市を眺める、ということをやっていました。人間にとっては貧しいコンクリートジャングルがある生物にとっては酒池肉林のパラダイスになる。その逆に、一見緑と水の豊かな空間が、まったく生物多様性を欠いた空間になってしまっていたりする。人間「外」の生きのものの眼を借りることで、僕たちが住むこの東京の、意外な側面が次々と浮かび上がる。そんな記事です。





これ、普通にやったらものすごく大変なのだけれど、僕にはちょっとした勝算がありました。近所に住んでいてとても親しくしている人がいて、その人は動植物にとても詳しくて、やたらと道端に生えている木や花に詳しく、そして僕のカブトムシ探しの師匠的な存在でもあったりします。ただ生物学者のたぐいかというとそんなことなくて、どちらかといえば都市論やメディア論の立場から、こうした動植物のことを考えてるーーまさにこの企画にうってつけの人です。

東京工業大学の柳瀬博一さんーー僕はこの企画を思いついた瞬間に柳瀬さんに頼んで、この夏一緒に都内を蒸しと鳥を探して歩いてくれるようにお願いしました。そして、実際に僕らは柳瀬さんに連れられて都内を自転車で走り回っていたのだけど……とにかく柳瀬さんの話が面白い。『ダーウィンが来た』的な動植物そのものの解説も面白いのだけれど、それが東京の地層の成り立ちから、下水処理技術の発達史、カメラ雑誌の投稿欄の闇、そして戦後の都市開発にまつわる政治的なすったもんだまで縦横無尽に話題が展開していくので、まったく飽きません。言ってみればそれはまるで『ダーウィンが来た』と『ブラタモリ』の解説が有機的に絡まり合って、そこからテレビ的なヌルさを取り去って、社会時評的なエッジを加えたもので、当日の柳瀬さんの話のテープ起こしを読み返していても、これは本当に面白いなと仕事を忘れて読み込んでしまうくらいでした。



紙幅の都合で、この柳瀬さんの膨大な話はほんの一部の、核になる部分しか載せられないのだけど、この記事はきっとこの雑誌の、少し、いやかなり変わった都市特集の精神的な支柱になってくれる。そう感じています。力の入った記事です。お楽しみに! 

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